臨時教員の待遇も良くしよう

 

 ここに言う「臨時教員」とは、常勤と非常勤の講師です。

 学校の臨時職員としては、講師の他にも事務職員や現業職員がいますが、ここではとりあえず除きます。

 学校でも、いま臨時教員が増加の一途をたどっています。それに伴い臨時教員の待遇改善が急務となっています。

 ここでは、臨時教員の現状についてまとめています。

 臨時教員の待遇改善について、ぜひご理解とご協力をいただきますよう、お願いします。

 

 

Ⅰ 高教組は臨時教員の待遇改善に取り組んでいます

 

 高教組は、毎年の県教委交渉などで、臨時教員の待遇改善を求めています。

 その結果、少しずつですが、最近の例では下記のような改善を実現させています。

 

1 任用の継続

 ①1年間の任用後、再任用に当たっての中断期間を1日(原則は1ヶ月)に短縮させた。
 ②12ヶ月以上臨時教員(病休・長研・介護代替および非常勤講師は除く)をして、任用が切れたとき、「求職者の退職手当」を請求できるようにした。
 ③臨時教員の厚生年金および健康保険の被保険者資格、空白期間が1ヶ月未満であれば継続となるようにさせた(2013年度末から適用)

 

2 休暇

 〇臨時教員の病気休暇・特別休暇・介護休暇は、正規教職員と同様に適用させた。

 

 

Ⅱ しかし依然、臨時教員の待遇は低い水準に抑えられています。

 

 しかしこれらの改善は、常勤講師だけの措置であったり、あるいは形式的には権利が与えられていても職場の実情などから実際には行使できず「絵に描いた餅」になっている、などの問題があります。

 「臨時職員」も一人の人間であり、労働者です。機械の部品のような扱いを許してはいけません。

 

 臨時教員の権利は、具体的には下記のような状況にあります。

 

1 任用期間

 【常勤】 夏季休業中も任用が継続します。

 【非常勤】 夏季休業中は任用が中断します(=給料の減額)。

 

2 年休(有給休暇)

 【常勤】 4月1日から9月30日までの辞令が出て、10日間の年休

       10月1日から12月31日までの辞令が出て、5日間の年休

       1月1日から3月31日までの辞令が出て、5日間の年休

     ・年休の残は年末(12月)に繰り越しできます(2019年度から=組合活動の成果です)。

     ・臨時的任用が4月以降も継続する場合は、3月から4月をまたいで繰り越しできます。

      (臨時的任用者が新規に正式採用された場合は、3月末時点での残を4月に繰越できません。

       ただし他県では繰越できるところもあるので、宮城県教委と交渉を続けています)。

     ・産休・育休代替の常勤講師の場合は、

       年度をまたいでも、繰越可能。

       年度内に任用中断期間(30日以内)がある場合でも、繰り越し可能。

 【非常勤】 勤務時間数、勤務日数、勤務経験年数に応じて年休があります。

       勤務日数が勤務すべき日数の8割以上の場合年休の繰越がありますが、

       勤務すべき日数の算出が難解。

 

3 休暇が保障されていても、実際には行使できない

 【常勤】 病気休暇は、正規職員と同じく保障されています。また、産前産後休暇(前後8週間)も、正規職員同様に保障されていますが、任用期間との関係で実際に権利を行使するのは非常に困難です。そのため常勤講師は妊娠すると辞職せざるを得なくなっています。

 【非常勤】 病気休暇はありません。また、産前産後休暇(’前後8週間)は、休暇をとると無給となり代替教員も配置されないため、権利の行使は事実上不可能です。そのため非常勤講師も妊娠すると辞職せざるを得なくなっています。

 

4 ボーナス

  【常勤】 ボーナスはあります。夏のボーナスは、6月30日に在籍する職員には前年12月2日から6月1日までの勤務実績に応じて支給されています。前年度(12月~3月)の勤務は常勤講師であれば他高校・他校種も含まれます。但し非常勤講師としての勤務実績は含まれません。

 【非常勤(会計年度職員)】 6ヶ月以上の任用で、週15時間30分以上勤務実績がある場合は、ボーナス支給の対象になります(期末手当・勤勉手当とも)。

 

5 社会保険

 【常勤】 3月30日で任用が切れても、4月1日から同一校で常勤として任用される場合は、期間が途切れません。

 【非常勤】 社会保険はありません。

 

6 給与と昇給

 【常勤】 給料は、教育職給料表(一)1級の俸給表が適用されています。

       初任給は4年制大学新卒で1級25号俸(202,100円)で、1年で4号俸昇給します。

       しかし上限が57号俸(2015年勧告で252,300円)のため、それ以上の昇給はありません。

       ※改善されつつあるとはいえ、正規教員の給与に比べると低額です。

 【非常勤】 給料(月額)は、1時間あたり2790円×(1週間の持ち時間数)×4週です。

       2790円は50分授業の場合の金額で、45分授業の場合は2790×45÷50=2511円となります。

       4月・7月・8月・12月・1月・3月は、月額給与÷(当月の平日の日数)×(授業日数)。

        昇給はありません。

       ※2016年度に時給単価が10円アップして2770円が2780円になり、2017年4月から2790円に。

       ※非常勤講師の時給単価は国が決める(例年3月提示)ので、県の人事委員会勧告に準拠するとは限りません。

        その金額も、直接に県に質問しないと教えてくれません。非常に不親切です。

 

7 諸手当(住居手当・通勤手当など)

 【常勤】 正規職員とまったく同じに支給されます。

 【非常勤】 通勤当しか支給されません。金額=(正規職員の手当額)÷21×(勤務日数)となります。

 

8 退職金

 【常勤】 任用期間が連続で6ヶ月以上の場合は支給されます。

 【非常勤】 退職金はありません。

 

9 採用試験

 常勤講師・非常勤講師を経験しても、教員採用試験で有利になるとは限りません。

 ※「臨時教員を一定年数経験した場合には採用試験を別枠にする」などの改善が必要です。

 

 

Ⅲ 待遇改善のために頑張っています。

 高教組は、青年部を中心に、宮臨連(臨時教員制度の改善を求める宮城県連絡会)と連携し、臨時教員の待遇改善に取り組んでいます。宮臨連が主催する臨時教員対象の採用試験2次対策講座にも協力しています。

 

  >> 青年部のページもご覧ください。